机戦オープニング―定虎引皇

 どうも、melovilijuです。
 今回は、定弓に並んでよく用いられる机戦のオープニングである定虎引皇について書きます。前回触れたアイル共和国文化省広報処の話は結局書く機運を逃したためお蔵入りです。

基本

 定虎引皇とは、虎を兵の前に出した定虎からさらに皇を自陣へ引くことで作られる陣形のことで、最速だと3手目で完成させることができます(図1)。

図1

 この戦術の狙いは大きく分けて3つあり、1つ目が船により王手をかけること、2つ目が虎の効きをふさいでいた皇をどかせて相手陣の隅に圧力を掛けること、そして3つ目が皇を自陣に持ちこむことで相手が皇を使いづらくすることです。
 将を王の前に移動させるのは一見冗長に思えるかもしれませんが、船が取られることを防ぐと同時に、のちに皇が移動させられた時に即座に王が危険にさらされることをなくせる点で重要な役割を果たしています。

 定虎引皇の陣形と狙いを説明したところで、次は実戦でのオープニング例に移りましょう。今回は先手が定弓を用いてきた場合に後手が定虎引皇で応戦する場合を考えます。

オープニング例

定弓 vs. 定虎引皇

互いに最速で攻めた場合

 1.ME弓MIMU XAU虎ZAIXY 2.CI兵CE TIA将ZAU 3.MU弓MAIMAU ZO皇ZAIXAUと進んで後手が定虎引皇を完成させた盤面です(図2)。相手の弓がこちらの弓を取って自陣に切り込んできていますが、構わずに皇を引いてZAIの船の利きを開けることでZAの王を攻撃しています。

図2

 図2からZAの王が逃げられる場所はNECIのどちらかですが、CI。に逃げると巫が行ける皇処を一つ潰してしまう上に簡単に攻撃されてしまうため、相手は4.ZA王TANEとします(図3)。ZEに合駒をすることもできますが、これはZAI船ZIZEで簡単にとられてしまうため悪手です。

図3

 さて、この図3の局面を見てどう思いましたか?もし黒が不利だと直感したのであれば、あなたは実力がある机戦プレイヤーといえるでしょう。 図3からは1手で直接王に利かせられる駒がありません。定虎引皇は自分の王を守り相手の王のみを狙う陣形ですが、逆にこのように相手の王が狙えなくなると、運用が途端に難しくなります。
 MAUの弓を処理するとCIに巫が来てしまうのを防げませんし、図4のように4.…PAU巫MAUCAUとしても5.MAU弓MIAとされて相手の手駒に馬と弓がそろってしまい、兵と虎を守ることになるため勝ちの目がなくなります。

図4

定弓対策に一手使った場合―抗弓との複合

 相手の攻めを無視すると定虎引皇でも劣勢になることがわかりました。机戦の序盤戦は先手が圧倒的に強いので、ある意味当たり前の結論といえます。

 ということで、対策を取ることが必要になります。ここでは、一手で可能な対策である抗弓を用いることにします。1.ME弓MIMU XAU虎ZAIXY 2.CI兵CE CAI兵MAIMY 3.LE弓LILU TIA将ZAU 4.NE兵NI ZO皇ZAIXAUと進んだ局面を考えます(図5)。

図5

 この状況はこちら側が極めて有利になっています。相手の王は逃げ場がなく、さらにNICIの皇処も虎によって抑えられているため巫を乗せることができません。

 もちろんこれは相手が抗弓に対応できず2.CE弓CIと指してしまったことによるこちらへの主導権の移動や、引皇を読めずに4.…ZO皇ZAIXAUを許してしまったことなどの要因が大きいため、ある程度机戦に慣れたプレイヤー同士の戦いでこのような盤面に持ち込むことは実際には難しいといえます。これは任意の戦術に言えることですが、実戦ではその戦術単体で勝ちに持ち込めることは少なく、他の戦術との複合や変形によって効果を発揮するものです。机戦の戦術は手数が少ないため、常に他の戦術を組み込む余地がないかを考えつつ陣形を組み立てるのが勝利への近道といえるでしょう。

終わりに

 1年以上ぶりの机戦オープニング解説の第二弾でした。相変わらず定弓が強すぎて互いが最適手をとると定虎引皇の解説にならず、苦労しました……

燐文のタカン語訓読をやってみた

 2週間ぶりですね。どうも皆さま、melovilijuです。
 SYのタカン語訓読の記事を見て読めるようになるかやってみたので今回はそれについて書きます。

タカン語とは

 ファイクレオネで用いられる言語の一つで、現代ではアイル共和国のタカン人自治区であるアタラム島(皇島)やその周辺で多く話されます。
 日本語に近く、助詞を使って文中での語の役割を示します。

訓読

 まず画像一枚目。えーと「我や火な門かん……行き閉ね心る」?タカン語わかんないけどこれ【行】と【閉】が逆じゃないですか……?

1枚目。

 SYに質問しました。

 SY「あ、これハイフン(連糸)で繋がなきゃいけないな、 【行-閉】 だ」

 おっと、早くもサンプルに訂正点を見つけてしまいました。幸先不安だ……

 二枚目。右から読みます。

2枚目上半分。画像が大きいので上を読みながら下まで見るのは難しい。

 えーと「我や米き口む」「将や王かん反言る」「山かん石き手る」「悪言無す言」。あれ?最後だけ下に書いてある翻字文と語順が一致しませんね。

2枚目下半分。

 たぶん【悪】に打たれた返り点(反字)を4字目の【言】にずらすと行けそうな感じがしますね。それも伝えつつ再びSYに質問。

 SY「あー、それで正しいです」

 三枚目。「王や……」これ送り字(無字)が多すぎますね。ていうか翻字も明らかにおかしいですね?【心】は一度しか登場していません。ちなみにここまで私は漢字部分はすべて漢字での発音をしています。だってタカン語読みの燐字音とか知らないし。

3枚目。翻字は【王や何き心らき識ね心る。】だった。

 四枚目!最後です。

4枚目。

 「羅国あ王あ清王や石き足撃てわ謝く。別の国の王は足撃てわ付人奮け。下日王家かん人無す。奮無須」うーん?【付人】は侍従でしょうから与格が要りますね。「かん」か。【奮無須】はわかりませんが、たぶん【奮】に何かが送られるべきで【須】は文法用語でしょうね。
 あ、キャプションに送り字2か所を忘れてたことの記載があった。【須】は命令形で処理、なるほど、そうなんですね。

 というわけで、画像4つを経て記事が終了しました。タカン語読みができないから読み上げようがないという点を除けばかなり読みやすい訓読文でしたね。

 今回はこの辺りで。次回は、アイル共和国文化省広報処のHPにNext.jsを導入した話を書くつもりです。

 この記事は、筆兵無傾 Advent Calendar 2022の15日目の記事です。150分の遅刻ですね。まあこのネタで記事を書けるって気づいたのが30分前なので仕方ない。

日本机戦連盟が学祭に出展した話

 お久しぶりです、melovilijuです。
 Advent Calendarの季節になりましたね!2022年も机戦の戦術に関する話題をいくつかと、今年にあった出来事をテーマにピックアップした記事を皆さんにお届けする予定です。

 というわけでまずは直近の出来事から。京都大学で11月の19日から22日に行われたNF (Novemver Festival) に日本机戦連盟として、Web展示部門とWebショップ部門で出展しました。
 もともとはメーカーへの発注によって大量に在庫ができた机戦を、もっと人々に知ってもらい買ってもらうためのきっかけになればいいなと思ってショップのみでの参加で考えていましたが、「せっかくWebページをNF運営がホストして展示してくれるなら」ということで展示でも同時に申し込むことにしました。ショップの方は商品がすでに存在して特にやることもなかったので、結果として11月までの間は展示ページとそのコンテンツ、そして展示するコンテンツ周辺の情報をできるだけ見やすくまとめた環境の整備に注力することになりました。

 そうして出来上がった展示ページがこれです(アーカイブ)。
 https://ail-mo-leti-cep.github.io/abelip/nf2022/

 自分たちで作ったページながら、机戦とアイルを軸にかなり読みやすく簡潔にまとめたいいページになりました。画像にリンクを仕込んで包括wikiや広報処のページに飛ばすことで、詳しい内容を知りたい人にも満足してもらえるように作れたと思います。

 そして、今回の目玉であり一番の収穫である新規の創作物は、ファイクレオネのポスターが作られたこと、そして燐字の簡単な解説PDFが組まれたことです。

 ポスター展示ページ
 https://ail-mo-leti-cep.github.io/pemecepe-poster

 燐字 PDF
 https://github.com/yasusho/linmarn_table_pdf/blob/master/80%E5%AD%97.pdf

 ポスターはInkscapeの画面配信をみながら人々が各自でアイデアを出しあって組み、広報処のホストで説明をつけて載せました。博物館ライクな表示に仕上げたので、ポスターそのものが読めなくても雰囲気を楽しんでもらえるようにできたと思います。やはりビジュアルは正義。文字でつらつら書くよりずっとわかりやすい。
 燐字PDFも、まだ未完成ではありますが、ありそうでなかった「字形・音・意味・字源の揃った頻用字リスト」を作ることができました。

 ショップでも机戦と紙机戦のセットを購入してくださった方が現れ、頑張っていろいろまとめた甲斐がありました。来年も参加するかはわかりませんが、こういったイベントを期日にするとちゃんと物事は進められるんだなというのをはっきりと実感した一年でしたね。

 それでは今回はこのあたりで。次回に何を書くかは決めていません。

この記事は 筆兵無傾 Advent Calendar 2022 の1日目の記事です。

机戦のオープニングについて

 どうも、melovilijuです。
 今回は机戦のオープニングについて、特に先手を取られた場合相手の行動に対処する方法について書きます。

目次

机戦の基本

 ・役を作らせない
 ・駒を自由にさせない
 ・再行させない

実戦的オープニング例

 ・定弓 vs. 定弓

終わりに

机戦の基本

 駒の動きと規則を覚えて机戦を上達しようとする人が、まず初めに知るべきことが机戦三律です。これは「役を作らせない (無与為集) ・駒を自由にさせない (無与従心行) ・再行させない (無与再行)」という三つの原則で、季を通じて行動の指針となる重要なポイントです。机戦というゲームでは、序盤には無駄な手を指せるような余裕はほとんどありません。そのため、三律を意識しながら何が狙われているのか、どこを抑えればよいのか、どうすれば自分の役につながるのかなどを考えながら手を決めることが強くなるための第一歩です。

役を作らせない

 机戦は、手駒の組み合わせによって役を作りそれに従って点数が移動するゲームです。つまり、相手の得点はすなわち自分の失点ということになり、これを防ぐための最も有効な方法が役を相手に作らせないことです。

 王を取らせないのはもちろんのこと、攻め駒である弓や虎と組み合わせられる馬や、兵という守りにくい駒との組み合わせだけで役になる車・将を相手に渡さないことが重要で、戦いを通してこれを意識することで、どの駒を捨てて攻めるべきかということが次第にわかってるでしょう。この項目は、特に後手になったときに意識が必要となるもので、初めの5, 6手は常に先手の動きの意図を読むことになります。

駒を自由にさせない

 これは厳密には上で述べた「役を作らせない」に含まれてくるポイントでもありますが、机戦というゲームでは、最善手が指される場合、その手は必ずそれ以降に何かの駒をある場所へ移動させるための狙いを持っています。逆に言えば、その狙いを読んだときに次に移動させる場所へこちらの駒を利かせておけば、相手の計画は修正を迫られ、こちらが自由に動ける余地が増えることになります。

 相手の意図を盤面から読めるかという部分はある程度の経験や推論が必要となってきますが、特に序盤のうちは「攻め駒を前に出す」「王や馬を取る」「巫を皇処に乗せる」など、狙いが比較的単純で読みやすい狙いになっているものが多くあります。1手で2つ3つの狙いが同時に達成されるようなことも多々生じるため、なるべくそれらの意図を読んで妨害するための一手を考えるようにするとより強くなれるでしょう。

再行させない

 これは、相手に役を作られることが避けられない時に大切になる項目です。再行は役ができた時にゲームを終了しない代償にレートを倍にするシステムで、不利な側も役を作って逆転するチャンスが生まれると考えられていますが、実際は、再行される時点で既に役を作れるだけの駒を彼にとられているわけで、我の形勢はかなり不利になっていることがほとんどです。逆に相手は手駒に何か追加するだけで新しい役が完成する状況になっていることが多く、この点においても不利となってしまっています。

 したがって、このポイントを実践できるかは、自分の負けをどれだけ軽いものに抑えられるかということに直結します。机戦は零和でかつ二人で行うゲームですから、負けないということがそのまま勝ちに繋がります。自分の負けが見えたら、相手に与える点が大きくならない範囲での防御を放棄しての王への攻撃や相手が駒を取るのに捨てる駒をこちらの役のトリガーにするなどの手を指すことで、確実に終季させましょう。もちろん相手が気づかずに再行してくれればその時はこちらが役を作り逆転できます。

実戦的オープニング例

 ここからは、ここまで述べてきた考え方をもとにしてより実戦的な局面でどういう狙いが読み取れてどういう対処をすればいいかを紹介します。

定弓 vs. 定弓

 今回は、実戦での採用率の高い定弓に対する戦い方を扱います。定弓は、弓を前に上げて巫を皇処に乗せ、馬弓兵か王を確実に完成させようとする初心者にも狙いの理解しやすい戦術です。第一手であるMAU弓MAIMYで敵陣ににらみを利かすことで相手の駒組みを制限でき、かつ一手で済むことから牽制の意味を込めて用いられることも多いこの戦術を理解することで、序盤の戦い方を学びましょう。

図1

 これは1.ME弓MIMU MAU弓MAIMY 2.CI兵CEと進んだ定弓対定弓の基本盤面です(図1)。
 赤側のCI兵CEは次にPE巫CECIで皇処に巫を乗せ次に王や馬をとれることを目的とした一手であり、これを防げなければ相手の役が確定します。これを防ぐために、まずはCIに駒を利かせることを考える必要がありますが、これの最も簡単な実現方法は2. …MY弓CYです(図2)。

図2

 この手はCEの兵を経由して巫や車へ弓を利かせるため良い手にも見えます。しかし実はこれはあまり良くない手であり、 弓が横にずれたことで相手の弓が馬に利くようになってしまっています。赤はこの後3.MU弓MAIMIAと馬を取った後4.PE巫PIPUと巫を前に出してXUTUのどちらかへ巫を乗せますが、この段階で王か虎が取られることを既に防げません(図3) 。

図3

 弓をずらすのは最適解ではありませんでした。次に2. …TAU虎ZAIXYを考えましょう(図4)。これはMUの弓を経由して間接的にCIに利きを持たせつつ、馬の上に駒を2つ重ねた状態を保っています。そのためMY弓CYと比較すると良い手と言えそうですが、次に赤が3.MU弓MYと指すとそのあと皇処へ巫が出るのを防ぐ手段がなくなります(図5)。

図4
図5

 虎を出すのも、弓をずらすのも有効な手ではありませんでした。ここでの最適な手は、2. …MY弓MUとこちらを攻めてくる相手の弓を取ってしまうことです(図6)。

図6

 この手の良いところは4つあり、まず第一に次の手で相手の巫が皇処に出るのを防げること。次に自陣への脅威となっていた相手の弓を取り除けること。三つ目として、相手が弓に対処しなければ次の手で馬が取れる状況になること。そして最後に、これが任意の状況で達成の最も難しい戦術目標ですが、相手の手を一意に絞れるようになることです。

 最後について詳しく見ていきましょう。図6の局面において赤側が馬を取られないために、そしてこれ以上この弓による被害を起こさないためには弓を取る他ありませんが、弓のあるMUに利いている駒はMIの兵しかありません。したがって次に赤が取れる最も良い行動は3.MI兵MUとなりますが、この手は特に黒陣への脅威にはならないためこちらが主導権を握れるようになります。

 この主導権を握るというのは机戦において最も重要な要素です。相手の手の狙いを読み対応できる力は必要ですが、主導権を握っていれば相手が防ぎづらい攻めをすることに集中すればよく、守りつつ攻めを狙うよりも守りを気にしながら攻める方がずっと易しいためです。基本的に相手に一手でも駒を自由にする余裕を与えると主導権は失われてしまうため、主導権を握ったときは攻めを途切れさせないことを意識して動きを組み立てるとよいでしょう。

 相手に弓を取られた後に取るべき手は3. …黒弓CYです(図7)。一手前に取ったばかりの駒を打ってしまうのはもったいないようにも思えますが、これは皇処への巫を防ぎつつ車と巫の両方に利きを持つ強力な手です。

図7

 この状態は弓が敵陣に利きを持っている上にCAIの皇処が安全なため次に4. …CAI兵CAUとして巫を皇処に乗せることもできるため非常に有利になっています。相手の持ち駒は弓ですがこれは役の構成駒とするためにはほぼ無力といってよいため、致命的な打ち込みを見逃さないことと馬の守りに気を配ることの2つに気を配れば劣勢になる心配は薄いと言えるでしょう。

 下に図7から数手進んだ局面の例をいくつか示します(図8-1, 2)。どちらの例でも最善手が指されているわけではありませんが、それぞれ黒が何を次に狙うべきか、逆に赤は何をすればその局面への移行を防ぐことができるかなどを是非考えてみてください。また、それぞれの手の目的だけでなく何が欠点かなどを考えることも上達への近道です。

図8-1: 4.赤弓CI CY弓CI 5.CE兵CI 赤弓CY 6.黒弓CU CY弓CU 7.CI兵CU CAI兵CAUまで
図8-2: 4.赤弓CI LAU弓LAILY 5.LE弓LILU LY弓LU 6.LI兵LU XAU虎ZAIXYまで

終わりに

 今回は定弓に対して定弓で対応した場合を考えましたが、机戦には他にも激巫や腰掛け虎などの有力な戦術に加えて未だ発見されていない定石が多く存在します。これまで見出されてきたものは今回述べた注意点を一つ一つカバーすることによって発案されてきたという歴史があり、これからもおそらくその延長線上で見つかると考えられています。

 この記事を読む人々が机戦を楽しみながら上達してくださり、今後の机戦文化がさらなる発展を遂げることを願います。

この記事は 悠里・大宇宙界隈 Advent Calendar 2021 の16日目の記事です。

情報編纂、第二フェーズへ

 どうも、melovilijuです。
 今回は、前回の記事に引き続いて悠里包括wikiとそれに関しての資料の配置について書いていきます。

 まずやったことですが、創作者が不在がちとなりかつ資料が非常に古く記述にも曖昧性が多くみられたリパライン倉庫の記事をコピーし、GitHubへ移しました。これによってメンテナンスの出来る人間の数が増え、版管理もしやすくなったというメリットが生じましたが、特に前者は今回において重要なポイントで、悠里世界の記述を確認しそれをまとめることを役目とする情報編纂者がこれまで倉庫の編集権限を持っていなかったのですが、GitHubに資料を複製したことで古い資料はそのままに修正を加えた写本を用いての情報編纂が行えるようになりました。

 これが実行に移されたきっかけとしては、まずPMCFの構成国であるリナエスト・オルス共和国の記事を包括wikiに執筆するにあたって、PMCFとリナエストに関する現代史の資料を読み込む必要が生じたことが挙げられます。しかしこの資料が現在真理設定かの議論が行われている分野に多く踏み込んだ内容であったため、一度真理であることが確定しているものを集め、かつわかりづらくなった記述やフォーマットの部分を修正したものをGitHubに用意したいということで人々の思いが一致し、実現することとなりました。このために選ばれたJLARは、もともと包括wikiのDirect Entryの出典を用意するために作られていましたが、用途がほとんど変化しないこと、すでに運用されていること、もともと「悠里人物・政治資料集積所」という名称であったことなどを含めて都合がよかったためここに決められました。

 というわけで、情報編纂は、これまでの「原典の記述を集める」という第一フェーズから「原典プライムを生み出す」という第二フェーズへ移りました。これの初めの対象になった記事がイスケ紛争リナエスト内戦諸島戦争の3つです。イスケ紛争と諸島戦争に関しては、現在となっては怪しくなってしまっている部分も多いため、これからの議論を経て記述がなされていくことでしょう。

 それでは今回はこのあたりで。

この記事は 悠里・大宇宙界隈 Advent Calendar 2021 の6日目の記事です。

16日間で編集回数が87増えた話

 お久しぶりです、melovilijuです。
 今年もAdvent Calendarの季節がやってまいりました。

 さて、ご存じのように、ここ数年でGoogle Sitesが旧バージョンを止める動きを見せ始め、われらがリパライン倉庫も2021年に新バージョンへの移行が行われました。管理者のFafs氏いわく「これまでとリンクは変わらないという保証はなされていた」そうですが、悲しいことに元のリンクは使えなくなってしまいました。
 これによって大きく打撃を受けたのが悠里包括Wikiで、「悠里に関する分散化した情報を集め、記述をまとめ、ポータルとなる」という使命が果たせなくなりました。この問題を解決するために行われたのが、10月最終週から11月上旬にかけて行われた倉庫リンクの総張り替えです。

沿革

10/23まで 張り替え稼働前

 アイル関連の記事などではjekto.vatimeliju氏による張り替えが行われたが、カバレッジでいえばおよそ200あるリンクのうちの10程度であった。

10/24 張り替え開始

 CL(情報編纂者)のskarsna.melovilijuが、包括wikiを使っている中で404を踏んだものを張り替えはじめる。この時点では、心当たりのある記事の編集が行われるだけにとどまっていたため効率は良くなかった。

10/25 張り替え本格化

 「外部リンクの検索」がMediaWikiに機能として備わっていることが発見され、 https://sites.google.com/site/riparaincangku/ での検索でリンクの一覧が得られることがわかった。倉庫の情報のほとんどが “ユエスレオネ人口世界設定” フォルダに格納されておりエンコードされていないリンクがほとんど張り替え前であるとわかったこと、また記事の編集画面でブラウザの検索機能を用いて cangku をみることでリンクの見落としを防げるようになったことで編集の速度が飛躍的に向上した。

11/9 全リンク張り替え完了

 最後にのこった外部リンクであった「ヴィッセンスタンツ語」のリンクに対しての処置を「参照元の情報が非真理のため真理情報のまとまった出典ページを作成して改めてリンク」として決定したことで、倉庫への404リンクが全て対処された。また、この過程で、「リナエスト・オルス共和国」と「「考える」シリーズ」の記事が新たに作成された。

終わりに

 包括wikiの大規模編集は2月中旬のリパコール誕生節以来でしたが、久しぶりにほとんどすべての創作情報に目を通して整合性や記述の曖昧性をチェックすることができた、ある意味で良いアクシデントでした。ありがとうGoogle Site、ありがとうリンク変更、ありがとうMediaWiki。アクシデントドリヴンな作業が最もはかどるという大切な真実を今一度我々に教えてくれたことに、心からの感謝を。

この記事は 悠里・大宇宙界隈 Advent Calendar 2021 の1日目の記事です。

(P.S. 12月1日は、アイドルマスターシンデレラガールズのPaアイドル筆頭こと第8代シンデレラガール、本田未央ちゃんの誕生日です!おめでとうちゃんみお!)

悠里包括wiki to Markdown

 お久しぶりです、melovilijuです。
 今回、悠里包括wikiの記事をリパライン倉庫のMarkdownに移すための作業手順が決まったので、備忘録と引継ぎを兼ねて書きます。

 mediawiki記法で一番数が多くて面倒なのはリンクと<ref></ref>です。今回は出典のなにもついていない{{Direct Entry}}のついた記事を移すことを想定しているため、<ref>はないものとして扱います(とはいうものの正規表現で検索して消すだけで良いのであまり気にしなくてよい)。また、置換を行うエディタはVSCodeを想定しています。

手順

  1. 全リンクを行末へ
    \]([^\]])]
    $1

    ( ] の後に改行)で置換
  2. パイプつき内部リンクを置換
    \[\[(.*)\|(.*)\]\][$2](http://www.jurliyuuri.info/w/index.php?title=$1) で置換
  3. パイプなし内部リンクを置換
    \[\[(.*)\]\][$1](http://www.jurliyuuri.info/w/index.php?title=$1) で置換
  4. 外部リンクを置換
    \[(.*) (.*)\][$2]($1) で置換
  5. 適当に行末の ) の後の改行を消去

 これでおそらく動くと思います。目次(__TOC__)やテンプレなどは適宜手動で対応していきましょう。

(P.S. しぶりんPMFお疲れ様でした!(激遅) 何とか一枚獲りボーダーを死守し、9thアニバアイプロで爆死した雪辱を果たすことができました。トワイライト・ホワイトライト良すぎる……)

机戦関連の非英語の用語たち

 お久しぶりです、melovilijuです。
 悠里外の机戦プログラマ人口が増えたことでciurlやtam2といった自明でない変数名に悩む案件が増えたためソースコードから人力で漁って一覧にしました。見つかり次第追加していきます。

リパライン語&東島通商語 系

東島通商語由来のものには * を後ろに付した。
cerke : 机戦
ciurl  : 投げ棒
perzej : 終わりのあいさつ
tarfe  : 皇処 (オレンジのマス。中央のマスを含むこともある)
tanna* : 皇水 (水色のマス。中央のマスを含むこともある)
tanzo : 皇山 (中央・緑色のマス。皇処であり皇水でもある)
tymorko : 再行 (役が出来たあとレートを倍にしてゲーム続行を宣言すること)
taxt  : 終季 (役が出来たあとゲーム終了を宣言すること)

パイグ語系(駒以外)

パイグ語は、短い語の後に数字を書いていることがあります。
kok(1)  : 赤
huok(2) : 黒
dat(2) : 集まり (sozysozbot/cerke/cerkefs/src/CerkeFS/Operation.hsでは、役という意味)
hop(1) zuo(1) : 手駒 (意味の上では「駒を取る」として使われている可能性もある)
kut(2) tam  : 撃皇 (皇を踏み越えると点数が5減ること)
ty mok(1) : 再行 (役が出来たあとレートを倍にしてゲーム続行を宣言すること)
ta xot(1)  : 終季 (役が出来たあとゲーム終了を宣言すること)
tam(2) hue  : 皇処 (オレンジのマス。中央のマスを含むこともある)
tam(2) hue a uai(1) : 皇処之将 (皇処に将の駒があると周囲八マスの味方の駒が取られなくなる現象)

mun(1)  : 無
nuak(1) : 船
kauk(2) : 兵
gua(2)  : 弓
kaun(1) : 車
dau(2)  : 虎
maun(1) : 馬
kua(2)  : 筆
tuk(2)  : 巫
uai(1)  : 将
io   : 王
tam(2) : 皇
 画像はbtamやrkaukのようになっていることが多いですが、一文字目のb, rが色(black, red)を他が駒の名前を示しています。

確認したGitHubレポジトリ

jurliyuuri/cerke_online_alpha
sozysozbot/cerke_discord
sozysozbot/cerke
meloviliju/cerke
meloviliju/cerke_code

 この記事は悠里・大宇宙界隈 Advent Calendar 2020の1日目の記事です。
 悠里・大宇宙界隈Advent Calendar 2020はまだまだ投稿者の募集を受け付けています、意欲ある方は是非登録ください!

(P.S. 9thアニバアイプロ、爆死しました……アニバーサリープリンセス北条加蓮欲しかった……)

悠里包括Wikiのテンプレートについて

 こんばんは、思ったより早く記事が書けました、melovilijuです。今回は、悠里の各コンテンツに関する情報がまとめられている悠里包括Wikiとそのテンプレートについて書きます。

 悠里包括Wikiは、設置を提言したドキュメントによると「コンテンツについての記事を書き」かつ「各創作者の既存のページを貼りまくる」サイトです。
 他の人の創作を気軽に確認するために重要な役割を果たしているほかに、創作者本人にとっても「自分の創作を断絶させない」という大切な意味を持っています。

 包括Wikiは、Wikipediaなどと同じエンジンを採用しているため、Wikipediaに似たなじみやすい記法で書くことができます。しかし類似した文章をいくつもの記事で何度も繰り返して書くのは効率が悪いため、テンプレートという機能が用意されており、それを使うことで簡単に記事の体裁を良くしつつ本質的な記述に集中できます。
 ここでは先日書いたmainおよびrellinkという汎用性の高いテンプレートを軽く紹介することにします。

 mainは、”|”(パイプ)を挟んで記事のリンクを入れることで「詳細は○○を参照」のような誘導文を簡単に入れられる仕組みです。何か既に記事が立っているものを解説する時に、概要に触れつつ本記事を紹介したいといったケースで有用です。
 rellinkは、もともとはmainを実装するうえで必要になったテンプレートで、”|”(パイプ)を挟んで文章いれるとそれをインデントしてイタリックにして表示できます。mainのようなポジションで、別の文言を使いたい時などに使えます。新たなテンプレートを作る際にも使えるので(というよりテンプレートの実装を楽にすることを目的に書いたので)、活用してもらえるといいなぁとなっています。

 包括Wikiに触れて悠里の創作に参加したいと思ってくれる人が少しでも増えることを願いつつ、今回はこのあたりでおわりにしようと思います。またお会いしましょう。

(P.S. 9月16日は、アイドルマスターシンデレラガールズのツンデレCoアイドル、神谷奈緒の誕生日です!おめでとう!)

第13回燐字書き取り

 お久しぶりです、最近誰も記事を書かなくなってきたことに寂しさを覚えつつあるmelovilijuです。
 燐字造字済みの360字を書きました。

 動機としては私が書いてみたかったというのも大きいですが、燐字の字形がこの夏で新規に10字以上造られてSY氏の書き取り済のカバー率が減ってきたというのがあります。
 これをj.v.氏の書いたコードを利用して一文字ずつにパースしてデータベースにいれると、http://jurliyuuri.com/lin-marn/linzi_image_table_narrow.htmlの右端(燐字画像21の列)に並びます。
 やったことのない作業でしたが、コード作成者で先達たるj.v.氏の助けを借りながら完成することが出来ました、これでまた悠里のトラック係数が減りましたねやったー

 夏休みが終わるまでにまた何か記事が書けたらなと思っています、それではまたお会いしましょう。

(P.S. 今日、9月13日はシンデレラガールズで島村卯月のCVを務めるへごちん/はっしーこと大橋彩香さんの誕生日ですね、おめでとうございます!)